人口減少・成熟社会のデザイン(広井 良典 京都大学 人と社会の未来研究院 教授)

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令和7年3月26日(水)政策審議会では「人口減少・成熟社会のデザイン」と題し、広井 良典(ひろい よしのり) 京都大学 人と社会の未来研究院 教授 にご講演いただきました。

  • 国際比較しても、日本は若年世代への支援が少なく、生活や雇用の不安定が少子化の背景にある。「人生前半の社会保障」として若い世代、将来世代への支援を強化するべきだ。
  • 若者支援の私案として、①大学の私費負担割合をより減らしていく、②地域おこし協力隊をより増員する、③生活基盤の住宅費支援を行う、④研究を志向する世代の雇用を安定させていく、を提言したい。
  • 若い世代のローカル志向を後押しし、多極集中の地方分散型社会を目指すことで、出生率の持ち直しや格差の縮小、健康寿命の延伸や幸福感の増大化といった効果を得られる。
  • デジタル化が成熟した次は生命、生活や人生の意味といった充足性の時代となっている。①健康・医療、②環境、③生活・福祉、④農業、⑤文化といったローカル領域が重要な展開を示すだろう。

との講演の後、出席議員との間で、

  • 若者や女性が住みやすいように政策を進める地方の町村への後押し(地域おこし協力隊の派遣等)
  • 地方共通ポイント制による商店街の振興
  • 地方分散型社会を目指す上での注意点(環境政策面)
  • 企業の地方移転を促進する税制上の優遇策
  • 寺社など地方が持つ文化資源、歴史や伝統の継承の重要性

等について、意見が交わされました。