AI・デジタルを活用した日本の医療制度 “Too Slow, Too Little, No Future Vision”からの大転換を!

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5月22日(水)参議院自民党政策審議会では、羽生田俊 政審副会長の司会の下、
「AI・デジタルを活用した日本の医療制度 “Too Slow, Too Little, No Future Vision”からの大転換を!」と題し、
医療への先進技術の活用について、有識者ヒアリングを実施しました。

末松信介 参議院議員の紹介で、 
・国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所中村 祐輔(なかむら ゆうすけ)理事長
より、お話をいただきました。

具体的には、下記のような話をいただきました。

  • 2011年に内閣官房参与、2018年~2023年に内閣府AIホスピタルプロジェクトの責任者を務めていたが、日本の医療政策は打つ手が小さく、後手に回ることが多い。
  • コロナ禍の感染症ワクチンの輸入分が減少してきても、医薬品は3兆円の貿易赤字となっている。
  • 投薬前にゲノム情報、HLAを調べることで副作用・薬疹を回避することが可能だが、日本では体系的に手が打たれていない。
  • 健康情報・診療情報・ゲノム情報の電子化・データベース化により、防災及びサイバー(ランサムウェア)対策となる。
  • AI・クラウドシステムを活用し、医療現場のエラー回避、病理医不足の解決、患者・ご家族の負担軽減、医療従事者の事務負担軽減など、医療の質の向上に繋げるべきだ。
  • マイナ保険証の先、医療情報の紐づけ、オーダーメイド医療のインフラ整備を大胆な投資で行うべきだ(投資した分は、医療費削減で取り戻すことができる)。
  • 超高齢化社会だが質の高いデータを持つ日本が乗り切れば、アジア・世界に貢献できるとともに、医療で輸出超過国に転ずることができる。「医療立国」の下、10年・20年先を見据えた制度設計をすべき。

説明後、山田太郎 議員、古川俊治 議員、有村治子 議員、小野田紀美 議員、古賀友一郎 議員、滝波宏文 議員、本田顕子 議員から質疑がありました。

  • PHR(パーソナルヘルスレコード)の統一化、医療データの質の共通化をどう進めていくべきか。
  • クラウド活用には賛成だが、個人情報保護法の議論が出てくる。オプトイン方式・オプトアウト方式など、どう対応していくべきか。
  • マイナンバーの利用分野拡大を嫌う方々もいるが、実際に医療情報を繋ぐリスクは大きいのか。プライバシーを気にする国民感情にどう配慮するか。
  • ファーマコゲノミクス、遺伝情報を調べて適切な薬剤を用いることを、現行のセルフメディケーションとどう併進していくか。
  • 尊厳死に関しての見解如何。
  • 心電図、睡眠時無呼吸の診断など、ウェアラブル端末の活用はどこまで進んでいるのか。
  • 医療分野への大規模な投資と制度設計にあたり、阻害要因となっているもの、感じるものがあれば、率直にお伺いしたい。
  • 医療情報のマネタイズ、「医療立国」をどのように収益に繋げていくのか。ツーリズムや学術論文以外に、知恵があれば伺いたい。
  • 新システム導入より現行のペーパー主義のほうが安上がりだ、という業界での医療DXをどう進めていくべきか。
  • コロナ禍でクローズアップされた薬剤耐性菌問題についても、ファーマコゲノミクスで解決することはできるのか。