「令和の転換点」がやってくる-働き手不足1100万人の衝撃

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5月15日(水)参議院自民党政策審議会では、山田太郎 政審副会長の司会の下、「令和の転換点」がやってくる-働き手不足1100万人の衝撃 と題し、労働市場分析について有識者ヒアリングを実施しました。

赤池誠章 政審副会長の紹介で、
・リクルートワークス研究所 古屋 星斗(ふるや しょうと) 主任研究員
より、下記のようなお話をいただきました。

  • 我が国の人手不足は景況感・企業業績に左右されない、労働供給制約に基づくものである。大手企業でも中途採用を急増させる等、様々な企業で人手不足になっている。
  • この状況で特定業界だけ待遇を引き上げても、近隣の業界から人手を奪ってしまう(介護だけ待遇を良くしても、看護・リハビリ技師を奪ってしまう)ので、全体を見たグランドデザインが必要だ。
  • 何も手を打たず座して待っていれば、充足率の高い事務職でもあらゆる面で生活の質が低下して仕事どころではなくなるという、悪循環に陥る。
  • 解決の方策では、労働供給量を増やす方法と、労働需要量を減らす方法がある。 供給増の主な方法としては、徹底的な自動化・機械化が挙げられる。
  • 今の日本は、「ルイスの転換点」の次、「令和の転換点」を迎えている。高齢人口増による労働投入量の長期的減少と生活維持サービス需要の拡大により、①賃金上昇、➁設備投資増、③物価上昇・インフレーションのトリプルアップを迎えている。
  • 経済指標も、「令和の転換点」の社会ではGDPより一時間当たりのGDP、ROI・ROEよりROLI、1単位の労働力でどれだけ価値を生めるか、失業率より所得増停滞率、3年間所得が上がっていない人の率、を見ていくべきだ。

説明後、上月良祐 議員、山田宏 議員、松川るい 議員、小野田紀美 議員から質疑がありました。

  • 現在の技能実習・育成就労・や特定技能も、業種ごとの積み上げで全体を見る部署がない。戦略的に全体を考える部署を作るべきだ。
  • 公定価格分野のエッセンシャルワーカーの人手不足への対応には何が有効か、名誉、給料、その他。
  • 若者の早期離職問題「配属ガチャ不満」等への対策はあるか。
  • 隙間バイト・スポットワーク・タイミー等といった新しい働き方への評価はどうか。労働力不足への対応には使えるのか。
  • デービッド=アトキンソン氏の中小企業論についての賛否はどうか。
  • デジタル人材の不足、現行のリスキリングの在り方についてのご所見は。
  • 過労から生命を守る趣旨は理解する他方、労働時間規制には「働きたいのに働けない」という声もあるが、お考え有れば。