自由民主党の岡田直樹です。
自由民主党・国民の声を代表して、安倍内閣総理大臣の施政方針演説について質問いたします。
とりわけ、本日、私は、日本国憲法をめぐる現状をどう認識し、その課題にどう対処すべきかという観点でお尋ねしたいと思います。
第一のテーマとして、安全保障環境について質問します。
平成元年は、天安門事件、ベルリンの壁崩壊、そして米ソ冷戦終結宣言という大事件が相次ぎ、冷戦からポスト冷戦へと転換した歴史的な年でありました。平成の時代、日本を取り巻く安全保障環境が改善するという期待もありましたが、現実はそうではありませんでした。北朝鮮は、平成三年の朝鮮半島非核化に関する南北共同宣言を無視して、核実験の強行、弾道ミサイル発射を繰り返し、アジア太平洋地域の緊張をかつてないレベルにまで高めてきました。
昨年六月、史上初の米朝首脳会談が行われたこと自体には少なからぬ意義があったと思います。しかし、そこで再確認された朝鮮半島の完全な非核化に至る道筋はまだ不透明と言わざるを得ません。北朝鮮は、使えなくなった一部の核実験場の廃棄に着手したかもしれませんが、主要な核施設などは査察もさせていないのではないでしょうか。核実験やミサイル発射は一時中断していますが、既にその開発が一定水準に達したため小休止しているにすぎないようにも見えます。
そこで、北朝鮮の核の脅威を現時点でどう捉えているのか。また、二月末にも二度目の米朝首脳会談がある見通しですが、朝鮮半島の非核化は具体的に進むのか。あるいは、米国が経済制裁を緩和して、なおかつ北朝鮮が核を持ち続けるおそれが相当あるのではないか。政府の認識と日本の対応について、総理の答弁を願います。
北朝鮮の憲法についても一言お尋ねします。
二〇一六年六月に改められた朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法の前文は、先代の金正日総書記を称賛していわく、我が祖国を不敗の政治思想強国、核保有国、無敵の軍事強国と変貌させ、社会主義強国建設の明るい大通路を切り開いた、こう明記しています。
こうした北朝鮮憲法の根幹を成す軍国主義は、日本国憲法の平和主義と到底相入れません。とりわけ問題なのは、自らを核保有国と宣言し、日本を始め周辺諸国を脅かしていることであります。北朝鮮がその憲法においてまで核保有国を自任することについて、日本政府の立場、見解はいかがでしょうか。総理に伺います。
一方、韓国はどうでしょう。分断された民族の心情を察するとしても、文在寅政権の南北融和一辺倒とも言える政策を見れば、かえって周辺地域の安全保障を危うくするのではないかという懸念を覚えます。中韓関係においても同様のことが感じられます。
日米同盟と米韓同盟は、その目的、性格を異にしてはいますが、相互に補完してアジア太平洋地域の要石となってきました。しかし、今、米韓同盟に亀裂が生じていると指摘する論者は少なくありません。その上に、旧朝鮮半島出身労働者の請求に対する韓国大法院判決の問題、韓国駆逐艦が海上自衛隊哨戒機に火器管制レーダーを照射した事件があり、一衣帯水の大切な隣国であるはずの韓国の日本に対する姿勢は全くもって不可解と言うほかありません。
韓国政府に断固たる態度で臨むことが必要でありますが、特にレーダー照射問題は、本来、日米韓の協力関係を支える柱として重要な日韓の防衛協力を困難にするものであり、デリケートな対応を迫られると感じます。日韓の諸問題に対する政府の見解、また打開策をどう考えておるのか、総理にお尋ねします。
なお、レーダー照射を行った韓国駆逐艦は北朝鮮の小型船舶に寄り添うようにしており、人道主義的な救助活動中であったと主張していますが、その海域は石川県能登半島沖の我が国排他的経済水域、EEZの内側にあります。北朝鮮船舶の目的が密漁か、いわゆる瀬取りかはさておき、以前も私は代表質問で、日本海大和堆周辺における北朝鮮漁船の大規模な違法操業によって日本の漁業者が身体の危険まで感じ、怒りの声を上げていることを伝えました。より強力で実効性ある手段で北朝鮮などの違法操業を取り締まっていただくよう、総理の決意を伺います。
また、他国の違法操業から日本の排他的経済水域や漁業者を守ることは、本来、海上保安庁や水産庁の任務でしょうが、今回のような自衛隊機の哨戒活動を厳重にし、海保や水産庁と情報を共有し、連携して日本の海を守ることはあってしかるべきと考えますが、総理の見解をお聞かせください。
また、中国の軍備増強にも歯止めが掛かりません。尖閣列島周辺や沖ノ鳥島周辺の接続水域などで中国海警局の船や海洋調査船が何度も確認されています。我が国の主権を脅かす行為であり、断じて看過できません。中国は人工の島を建設し、領土、領海をめぐってフィリピンやベトナムとも対立しています。
総理にお伺いします。中国の太平洋進出の意図及びそのパワーとなる海軍力、空軍力の増強をどのように認識しているのでしょうか。尖閣列島や沖ノ鳥島の周辺での中国の行動についての認識、対応もお聞かせください。
我が国は、戦後一貫して日本国憲法の平和主義の下、日米同盟を基軸に、国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保ってきました。しかし、今日の安全保障環境は、冷戦時代と同等か、それ以上に緊迫し、複雑化しております。私たちは、ここにこそ自衛隊の存在を憲法上揺るぎのないものとし、もって日本に対する侵害を未然に抑止する必要性があると考えています。
我が党の憲法改正推進本部では、現行の九条一項及び二項を堅持した上で自衛隊を明記することの意義を認める意見が多数を占め、新たに九条の二を追加する条文イメージ、たたき台素案を取りまとめました。
すなわち、九条の二では、前条の規定は、我が国の平和と独立、国と国民の安全の確保のために必要な自衛の措置をとることを妨げないとして、九条一項、二項及びその解釈を維持することを明確にした上で、そのための実力組織として自衛隊の保持について規定するとともに、内閣総理大臣を最高の指揮監督者とし、自衛隊の行動は国会の承認などの統制に服する旨を定め、シビリアンコントロールを明記することとしております。
党内の議論の中でも、九条をめぐっては様々な意見が交わされました。今申し上げたものは、あくまでも条文イメージとして両院の憲法審査会などで議論され、各党から十分な御意見もいただくためのたたき台と考えております。
二〇一六年六月に改められた朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法の前文は、先代の金正日総書記を称賛していわく、我が祖国を不敗の政治思想強国、核保有国、無敵の軍事強国と変貌させ、社会主義強国建設の明るい大通路を切り開いた、こう明記しています。
こうした北朝鮮憲法の根幹を成す軍国主義は、日本国憲法の平和主義と到底相入れません。とりわけ問題なのは、自らを核保有国と宣言し、日本を始め周辺諸国を脅かしていることであります。北朝鮮がその憲法においてまで核保有国を自任することについて、日本政府の立場、見解はいかがでしょうか。総理に伺います。
一方、韓国はどうでしょう。分断された民族の心情を察するとしても、文在寅政権の南北融和一辺倒とも言える政策を見れば、かえって周辺地域の安全保障を危うくするのではないかという懸念を覚えます。中韓関係においても同様のことが感じられます。
日米同盟と米韓同盟は、その目的、性格を異にしてはいますが、相互に補完してアジア太平洋地域の要石となってきました。しかし、今、米韓同盟に亀裂が生じていると指摘する論者は少なくありません。その上に、旧朝鮮半島出身労働者の請求に対する韓国大法院判決の問題、韓国駆逐艦が海上自衛隊哨戒機に火器管制レーダーを照射した事件があり、一衣帯水の大切な隣国であるはずの韓国の日本に対する姿勢は全くもって不可解と言うほかありません。
韓国政府に断固たる態度で臨むことが必要でありますが、特にレーダー照射問題は、本来、日米韓の協力関係を支える柱として重要な日韓の防衛協力を困難にするものであり、デリケートな対応を迫られると感じます。日韓の諸問題に対する政府の見解、また打開策をどう考えておるのか、総理にお尋ねします。
なお、レーダー照射を行った韓国駆逐艦は北朝鮮の小型船舶に寄り添うようにしており、人道主義的な救助活動中であったと主張していますが、その海域は石川県能登半島沖の我が国排他的経済水域、EEZの内側にあります。北朝鮮船舶の目的が密漁か、いわゆる瀬取りかはさておき、以前も私は代表質問で、日本海大和堆周辺における北朝鮮漁船の大規模な違法操業によって日本の漁業者が身体の危険まで感じ、怒りの声を上げていることを伝えました。より強力で実効性ある手段で北朝鮮などの違法操業を取り締まっていただくよう、総理の決意を伺います。
また、他国の違法操業から日本の排他的経済水域や漁業者を守ることは、本来、海上保安庁や水産庁の任務でしょうが、今回のような自衛隊機の哨戒活動を厳重にし、海保や水産庁と情報を共有し、連携して日本の海を守ることはあってしかるべきと考えますが、総理の見解をお聞かせください。
また、中国の軍備増強にも歯止めが掛かりません。尖閣列島周辺や沖ノ鳥島周辺の接続水域などで中国海警局の船や海洋調査船が何度も確認されています。我が国の主権を脅かす行為であり、断じて看過できません。中国は人工の島を建設し、領土、領海をめぐってフィリピンやベトナムとも対立しています。
総理にお伺いします。中国の太平洋進出の意図及びそのパワーとなる海軍力、空軍力の増強をどのように認識しているのでしょうか。尖閣列島や沖ノ鳥島の周辺での中国の行動についての認識、対応もお聞かせください。
我が国は、戦後一貫して日本国憲法の平和主義の下、日米同盟を基軸に、国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保ってきました。しかし、今日の安全保障環境は、冷戦時代と同等か、それ以上に緊迫し、複雑化しております。私たちは、ここにこそ自衛隊の存在を憲法上揺るぎのないものとし、もって日本に対する侵害を未然に抑止する必要性があると考えています。
我が党の憲法改正推進本部では、現行の九条一項及び二項を堅持した上で自衛隊を明記することの意義を認める意見が多数を占め、新たに九条の二を追加する条文イメージ、たたき台素案を取りまとめました。
すなわち、九条の二では、前条の規定は、我が国の平和と独立、国と国民の安全の確保のために必要な自衛の措置をとることを妨げないとして、九条一項、二項及びその解釈を維持することを明確にした上で、そのための実力組織として自衛隊の保持について規定するとともに、内閣総理大臣を最高の指揮監督者とし、自衛隊の行動は国会の承認などの統制に服する旨を定め、シビリアンコントロールを明記することとしております。
党内の議論の中でも、九条をめぐっては様々な意見が交わされました。今申し上げたものは、あくまでも条文イメージとして両院の憲法審査会などで議論され、各党から十分な御意見もいただくためのたたき台と考えております。
※文章は安全保障環境部分のみです。
動画の続きは岡田直樹ホームページから、もしくは下記に岡田直樹Youtubeチャンネルからご覧ください。